相続した土地の売却を考え始めたとき、気になりやすいことの一つが「取得費」です。
「親がいつ、いくらで土地を買ったのか分からない」
「古い契約書や領収書が見つからない」
「資料がなくても売却を進めてよいのだろうか」
と、不安になることがあるかもしれません。
取得費が分からないからといって、すぐに売却をあきらめたり、急いで結論を出したりする必要はありません。まずは手元にある資料や、土地を取得した経緯を分かる範囲で整理することから始めましょう。
この記事では、相続した土地の取得費とは何か、なぜ分からなくなりやすいのか、売却前にどのような資料や経緯を確認するとよいかを紹介します。個別の税額や制度の適用は事情によって異なるため、税理士または税務署へ確認する前の整理の目安としてご覧ください。
取得費とは、売却時の税金を考える際の確認材料の一つです
土地を売却したときの税金を考える際には、売却した金額だけでなく、その土地を取得したときにどのくらい費用がかかったかも確認します。この、取得にかかった費用に関する情報が「取得費」です。
たとえば、土地を購入したときの代金や、購入に伴ってかかった費用が手掛かりになることがあります。相続した土地の場合でも、一般的には相続した時点の評価額ではなく、亡くなった方がその土地を取得したときの資料や経緯を確認することになります。
ただし、何を取得費に含められるか、どの資料をどのように扱うかは個別の状況で異なります。この記事では税額の計算や結論づけは行わず、まず確認を始めるためのポイントを整理します。
相続した実家を売却したときの税金の全体像は、相続した実家を売却したときにかかる税金で紹介しています。
相続した土地で取得費が分からなくなりやすい理由
相続した土地では、取得費に関する資料が手元にそろっていないことは珍しくありません。
購入した時期が古く、資料の保管場所が分からない
親世代や祖父母世代が購入した土地では、購入から長い年月が経っていることがあります。引っ越しや建て替え、相続を重ねる中で、契約書や領収書の保管場所が分からなくなることもあります。
相続の手続きに必要な書類と、購入時の書類が別に保管されている
相続登記のために用意した書類があっても、購入当時の契約書や費用の資料まで一緒に見つかるとは限りません。相続に関する書類と、土地を取得した当時の書類は分けて探す必要がある場合があります。
土地の取得経緯が一つではないことがある
購入した土地だけでなく、交換、贈与、分筆、他の土地との入れ替えなど、取得までの経緯が複数にわたるケースもあります。ご家族の記憶や古い書類を手掛かりに、分かる範囲で時系列を整理しておくと、相談時に状況を伝えやすくなります。
まず探してみたい資料と確認したい経緯
すべての資料を自分で判断する必要はありません。見つかったものを保管し、分からない点をメモしておくだけでも、税理士や税務署へ相談するときの助けになります。
土地を購入したときの契約書
売買契約書など、土地を購入したときの内容が分かる書類が残っていないか確認します。古い書類箱、仏壇まわり、金庫、引き出し、親族が預かっている書類など、保管されていそうな場所を落ち着いて探してみましょう。
購入時の費用が分かる領収書や精算書
土地の購入に伴う費用について、領収書、精算書、請求書などが残っている場合があります。書類の内容だけで自己判断せず、見つかったものをまとめて専門家へ見せられるようにしておくと安心です。
登記に関する書類や土地の資料
登記識別情報や登記済証、固定資産税の課税明細書、測量図、公図などは、購入代金そのものを示す資料ではない場合があります。それでも、土地の所在地、地番、面積、取得した時期の手掛かりを整理する資料になることがあります。
相続登記の状況がまだ分からない場合は、相続登記をしていない実家は売れる?も参考にしてください。
相続時の資料と、ご家族が知っている経緯
遺産分割協議書、相続税の申告書控え、財産目録など、相続時に作成した資料が残っている場合もあります。また、「いつ頃購入したと聞いているか」「もともと誰が住んでいたか」「土地の一部を売買・交換したことがあるか」など、ご家族が知っていることを書き出しておくのも有効です。
相続税を納めている場合でも、売却時の取扱いは資料や時期などによって確認が必要です。相続税額を取得費に加算できる特例が検討されることもありますが、要件の確認が必要なため、適用の可否は税理士または税務署へご相談ください。
また、相続した土地が空き家に関する特例の対象となる可能性がある場合も、取得費とは別に確認したい制度があります。相続した空き家の3,000万円特別控除では一般的な確認ポイントを紹介していますが、対象になるかどうかは、必ず個別にご確認ください。
資料が見つからないときに、急いで自己判断しなくてよい理由
取得費に関する資料が見つからない場合でも、その場で「資料がないから仕方ない」と決める必要はありません。
国税庁では、土地などの取得費が分からない場合、売った金額の5パーセント相当額を取得費とする方法が案内されています。
ただし、実際に確認すべき資料や取扱いは、土地を取得した経緯や手元にある資料によって異なります。資料が見つからない場合も自己判断せず、税理士または税務署へ確認しましょう。
国税庁の案内は、国税庁「取得費が分からないとき」で確認できます。
まずは、次の順番で整理してみましょう。
- 契約書や領収書など、購入時の資料が本当に残っていないかを確認する
- 土地を取得した時期や方法を、ご家族の記憶も含めて書き出す
- 相続時の資料、登記関係の書類、固定資産税の資料などをまとめる
- 売却を急ぐ事情があるか、家族・共有者の意向はどうかを整理する
- 資料一式を持参して、税理士または税務署へ確認する
資料が少ないほど、早めに相談して整理の方向を確認すると安心です。ただし、売却の時期そのものは、税金だけで決めるものではありません。管理の負担、ご家族の希望、共有者との話し合い、土地の使い道なども含めて考えることが大切です。
売却前に、税金以外にも整理したいこと
取得費を確認することは大切ですが、それだけで売却の判断が決まるわけではありません。
土地を売るか、残すか、ほかの方法も含めて考える
土地を今後使う予定があるか、管理を続けられるか、ご家族の中で残したい人がいるかを確認しましょう。まだ売却するか決めていない場合は、相続した土地はどうする?売る・残す前に確認したいことで、選択肢を整理できます。
相続人・共有者との状況を確認する
相続人が複数いる場合や、共有で相続している場合は、売却について誰がどのように考えているかを確認する必要があります。税金の資料探しと並行して、名義や話し合いの状況も整理しておくと、その後の進め方を考えやすくなります。
売却の準備に必要な時間を見込む
相続登記、境界、建物や荷物、遠方からの手続きなど、土地の状況によって確認に時間がかかることがあります。売却を考え始めた段階で一般的な流れを知りたい方は、相続した土地を売るときの流れ|まず確認したいことをご覧ください。
査定を受けることは、売却を決めることとは別です。価格や売り方の目安を知りたい場合は、家の査定だけお願いしても大丈夫?売却を決める前に知りたいことも参考にしてください。
専門家や窓口へ確認するときに伝えるとよいこと
税理士や税務署へ相談するときは、すべてを完璧にそろえてからでなくても大丈夫です。次のような情報を、分かる範囲で伝えられるようにしておくと相談が進めやすくなります。
- 土地の所在地、地番、現在の利用状況
- 誰から相続した土地か、相続した時期
- 亡くなった方が取得した時期や方法について分かっていること
- 見つかった契約書、領収書、登記関係書類、相続関係書類
- 売却を考えている時期や、すでに買主・査定の話があるか
- 相続人・共有者がいるか、話し合いの状況
「何が取得費になるのか分からない」「資料が不足している」と、そのまま伝えて問題ありません。個別の税務判断は、資料を確認したうえで税理士または税務署に確認しましょう。
実家じまいの全体像を確認したい方へ
相続、家財の整理、空き家の管理、売却まで、実家じまいの基本的な進め方をまとめています。
まとめ
相続した土地の取得費が分からないときは、まず購入当時の契約書や領収書、登記関係書類、相続時の資料を、分かる範囲で集めてみましょう。
資料が見つからない場合でも、急いで自己判断する必要はありません。取得の経緯やご家族の記憶も整理し、税理士または税務署へ確認することで、次に何を確かめるべきかが見えてくることがあります。
土地を売却するかどうかは、税金だけで決めるものではありません。ご家族・共有者の意向、管理の負担、売却時期も含めて、納得できる順番で考えていきましょう。
相続した土地の売却前に相談できます
まだ売却を決めていなくても、ご相談だけでも大丈夫です。
「取得費の資料をどう探せばよいか分からない」
「相続人や共有者との話し合いから始めたい」
「土地の状況を整理してから、売却するか考えたい」
という段階でも、お気軽にご相談ください。
- 売却を急がせることはありません。
- ご相談だけでも歓迎しております。
- 仲介・買取のどちらにも対応しております。
- 税務・登記などは、必要に応じて税理士や司法書士などの専門家への確認をご案内します。
ご相談方法をお選びください
お気軽にご相談ください
売ると決めていなくても、ご相談だけでも大丈夫です。
- 売却を急がせることはありません。
- ご相談だけでも歓迎しております。
- 仲介・買取のどちらにも対応しております。
- 必要に応じて、司法書士などの確認先を紹介またはご案内できる場合があります。
ご相談方法をお選びください
「売る」と決める前に、まずは状況整理から一緒に考えていきましょう。


