相続した土地について、「使う予定がない」「遠方にあって管理が難しい」「できれば手放したい」と感じることは珍しくありません。
ただし、いらないと感じた土地でも、すぐに売れる、譲れる、国へ引き取ってもらえるとは限りません。土地の状態や場所、名義、相続人の状況によって、確認することや進め方が変わるためです。
急いで結論を出そうとせず、まずは土地の現状と家族の考えを整理するところから始めましょう。売却を決めていない段階でも、相談しながら考えて大丈夫です。
まず確認したい土地の状態と利用予定
「使わない土地」と思っていても、土地ごとに状況は大きく異なります。手放す方法を考える前に、次のような点を確認してみましょう。
- 土地がどこにあるか、現地へ行ける距離か
- 自分や家族に、住む・駐車場にする・資材置き場にするなどの利用予定があるか
- 道路に接しているか、車で近くまで行けるか
- 境界が分かる資料や、隣地との確認があるか
- 建物、物置、残置物、樹木などが残っていないか
- 草刈り、除雪、見回りなど、現在どのような管理が必要か
- 固定資産税など、持ち続けるために毎年どのような費用がかかっているか
すべてを一度に確認できなくても問題ありません。納税通知書、登記に関する書類、測量図、過去の売買契約書など、手元にある資料を集めるところから始めると整理しやすくなります。
相続した土地について、売る・残す前に全体として確認したいことは、相続した土地はどうする?売る・残す前に確認したいことで解説しています。
建物や残置物がある場合
土地の上に建物や物置が残っている場合は、土地だけの話として進められないことがあります。建物の傷み具合、家財や残置物の量、近隣への影響、管理の負担も確認材料になります。
空き家の管理が続けにくいと感じている場合は、まず事故や近隣への影響を防ぐために何を確認するかを、空き家の管理で困ったときの対処法でご覧いただけます。札幌近郊で冬の管理が心配な場合は、札幌で冬の空き家を管理するには?も参考にしてください。
手放す前に整理したい名義・相続人・共有者の状況
土地をどうするかを考えるときは、誰の名義になっているか、誰が相続人・共有者なのかを先に確認しておくことが大切です。
たとえば、親の名義のまま相続登記が終わっていない場合、兄弟姉妹など複数人の共有になっている場合、相続人が多い場合には、一人の判断だけで進められないことがあります。
まずは、次のことを整理してみましょう。
- 登記簿上の所有者は誰か
- 相続登記が済んでいるか
- 遺言書の有無や、相続人の範囲を確認できているか
- 共有者や他の相続人がいるか
- それぞれが土地を残したいのか、手放したいのか
「誰が実質的に負担すべきか」や、売却・譲渡に必要な対応は、相続や権利関係によって異なります。家族の話し合いだけで判断が難しいときは、司法書士などへ相談して確認すると安心です。
相続登記がまだ終わっていない土地を売却までどのように進めるかは、相続登記をしていない実家は売れる?でご案内しています。相続人が多いときの整理の進め方は、相続人が多いときの実家売却も参考にしてください。
売却を考える場合に確認したいこと
売却は、土地を手放す方法の一つです。ただし、土地の条件によっては、買い手を探しやすい場合もあれば、時間がかかる場合や、売却の進め方を慎重に検討したほうがよい場合もあります。
特に、所在地、道路との接し方、土地の形や広さ、境界の状況、建物・残置物の有無、周辺の利用状況などは、売却を考える際の確認材料になります。
売却を急いで決める必要はありません。まずは土地の状態を確認し、売却を検討するなら、どのような資料が必要になりそうか、誰と話し合う必要があるかを整理するとよいでしょう。
相続した土地を売るときの大まかな流れは、相続した土地を売るときの流れ|まず確認したいことでご紹介しています。
売却以外の方法も、簡単に進むとは限らない理由
土地を手放す方法として、自治体への寄付、個人や法人への譲渡などを思い浮かべる方もいるかもしれません。
ただし、受け入れ先にはそれぞれの判断や条件があります。自治体への寄付も、すべての土地が受け入れられるわけではありません。個人や法人への譲渡についても、相手が見つかるか、土地の状態や権利関係に問題がないかなど、確認することがあります。
「売れないなら寄付すればよい」「使わないなら無償で渡せばよい」と急いで決めるのではなく、土地の条件と受け入れ先の考えを確認してから検討しましょう。必要に応じて、自治体の担当窓口や、権利関係に詳しい専門家へ相談する方法もあります。
相続土地国庫帰属制度とは
相続土地国庫帰属制度は、相続または相続人に対する遺贈によって取得した土地について、一定の要件を満たした場合に、国庫への帰属を申請できる制度です。
これは、使う予定がない相続土地について考える際の選択肢の一つですが、「不要な土地をすぐに国が引き取る制度」ではありません。法務局での審査があり、申請できない土地や、承認されない土地の要件が定められています。承認申請には審査手数料がかかり、承認後には負担金の納付が必要になる場合があります。
たとえば、建物がある土地、担保権や使用収益を目的とする権利が設定されている土地、境界や所有権に争いがある土地などは、申請できない場合があります。また、管理や処分に過分の費用・労力がかかる土地なども、承認されないことがあります。
制度の対象かどうか、申請できるかどうか、負担金がどの程度になるかは、土地ごとの状況で異なります。詳しい要件や最新の手続きは、法務省の相続土地国庫帰属制度についておよび相続土地国庫帰属制度の概要で確認し、土地の所在地を管轄する法務局へ相談してください。
制度を検討する前に確認したいこと
相続土地国庫帰属制度を含め、手放す方法を考える前に、次の点を整理しておくと、法務局や専門家へ相談するときに状況を伝えやすくなります。
- 土地の所在地、地番、面積、現地の状況
- 建物、物置、残置物、樹木などの有無
- 登記簿上の名義と、相続登記の状況
- 他の相続人・共有者の有無と意向
- 境界や隣地との状況で気になっている点
- 固定資産税や管理にかかっている費用
- 売却、活用、寄付などについて、これまでに確認したこと
資料がそろっていない場合も、手元にある納税通知書、登記識別情報、登記簿、地図、写真などを持って相談するとよいでしょう。無理に結論を出すよりも、「何が分かっていて、何がまだ分からないか」を整理することが次の確認につながります。
相談先ごとの役割と、事前に整理しておくとよいこと
土地を手放す方法は一つではなく、相談先にもそれぞれ役割があります。
| 相談先 | 確認しやすいこと |
| 不動産会社 | 売却を考える場合の土地の状況、進め方、必要になりそうな準備 |
| 司法書士 | 相続登記、名義、相続人・共有者など権利関係の確認 |
| 自治体窓口 | 寄付の受け入れ可否など、その自治体の取扱い |
| 法務局 | 相続土地国庫帰属制度の要件、相談方法、申請手続き |
| 税理士・税務署 | 土地を売却した場合などの税金に関する個別確認 |
どこへ相談するか迷うときも、まずは土地の状況と相続人の考えを整理することから始めれば大丈夫です。当相談室では、まだ売ると決めていない段階でも、今の状況を一緒に整理し、必要に応じて確認先をご案内します。
まとめ|手放す前に、まず土地と家族の状況を整理する
相続した土地がいらないと感じても、売却・寄付・相続土地国庫帰属制度のどれが合うかは、土地の状態や名義、家族の意向によって異なります。
まずは、土地の場所・状態・管理の負担、名義・相続人・共有者、利用予定を確認してみましょう。そのうえで、必要に応じて不動産会社、司法書士、自治体、法務局、税理士などへ相談すると、次に確認することが見えやすくなります。
実家じまい全体の進め方は、実家じまい総合ガイドにまとめています。
お気軽にご相談ください
お気軽にご相談ください
売ると決めていなくても、ご相談だけでも大丈夫です。
- 売却を急がせることはありません。
- ご相談だけでも歓迎しております。
- 仲介・買取のどちらにも対応しております。
- 必要に応じて、司法書士などの確認先を紹介またはご案内できる場合があります。
ご相談方法をお選びください
「売る」と決める前に、まずは状況整理から一緒に考えていきましょう。


